行き先のない旅 (25)

嗚呼、芸術の国フランス!

執筆者:大野ゆり子 2005年6月号
エリア: ヨーロッパ

 大学入学資格試験改革に反対する高校生、エールフランス、救急医、国鉄、メトロ、タクシー。今年になってからのフランスは特にストが多い。二〇一二年のオリンピック開催地に立候補したパリをIOC(国際オリンピック委員会)が視察に訪れた日は、交通機関がゼネスト決行。ライバルのロンドンやニューヨークがパリを揶揄する絶好の機会となった。週末に出るフィガロ誌が社説でスト現象を取り上げ、「フランス社会は互いの信頼を放棄してしまった。(労使関係は)永久に対立し、責任を押し付けあうムードが蔓延している」と嘆いた記事を、どこか対岸の火事と思って読んだ記憶がある。

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執筆者プロフィール
大野ゆり子(おおのゆりこ) エッセイスト。上智大学卒業。独カールスルーエ大学で修士号取得(美術史、ドイツ現代史)。読売新聞記者、新潮社編集者として「フォーサイト」創刊に立ち会ったのち、指揮者大野和士氏と結婚。クロアチア、イタリア、ドイツ、ベルギー、フランスの各国で生活し、現在、ブリュッセルとバルセロナに拠点を置く。
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