「ガザ撤退強行」でシャロンが買う“時間”

執筆者:立山良司 2005年7月号
エリア: 中東

パレスチナ側からすれば、イスラエル・シャロン首相の“遅延戦術”は脅威。アッバス議長は時間に追い詰められ始めている――。 時間は特異な政治的資源だ。政治指導者は時間を自らに有利となるよう活用しなければならないが、時の流れを独占することはできない。パレスチナ問題も例外ではない。イスラエルはこの八月、ガザ地区全域とヨルダン川西岸北部の一部からの完全撤退を開始する。背後にあるのは将来を支配しようとするシャロン首相の思惑だ。今年一月に選出されたパレスチナ自治政府のアッバス議長(パレスチナ解放機構=PLO議長)もまた、交渉プロセスという時間的な枠組みを長期化させないよう躍起となっている。ただ、時間をめぐる観念は必ずしも均一ではない。イスラエルのユダヤ教過激派やパレスチナのイスラム教過激派ハマスなどはまったく異なる視点で行動しており、そのことが状況をますます錯綜させている。

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