突如として浮上した証券会社による銀行買収計画。続報がピタリと止んだ背後にはどんな思惑が――。 三月二十三日夕方、日興コーディアルグループの有村純一社長は、東京・霞が関にある金融庁へ向かった。「面会相手は五味廣文長官や企画局系の局長クラスだった」(金融庁関係者)とされる。金融ビッグバンが進んだとはいえ、証券会社の登録権限を持つのは金融庁。日興の経営トップがその官僚に会うのは何も珍しいことではない。ただ、今回はいつもの“挨拶”ではなかった。 十五分程度で終わったとされる“挨拶”の中身は、銀行買収の“仁義切り”。日興は証券会社にとって念願の、ビジネスモデルの転換に動いていた。意中の買収相手は、関東圏を地盤とする中堅地銀の東京スター銀行である。
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