「世界最速」の選手、宮間あや

執筆者:星野 智幸 2014年5月29日
タグ: 中国 日本

 右サイドからショートパスが折り返されたとき、宮間あや選手はまだペナルティエリアのだいぶ手前にいた。宮間はそのパスをワンタッチで簡単に前方へ蹴った。時間が変化したのはその瞬間だ。ボールはまるで紙飛行機のようになめらかに飛び、格納庫へ戻るかのように、すーっとゴール左上の隅へ収まった。

 なでしこリーグ第6節、浦和レッズレディース対岡山湯郷ベルの試合でのゴールである。あまりに美しすぎるその軌道を、私は一生忘れないだろう。

 だから、なでしこジャパンはアジアカップで優勝すると、私は確信していた。宮間あやがキャプテンを務めるチームが、負けるはずがない。MVP受賞も当然である。何しろ、今、世界最高の選手なのだから。

カテゴリ: スポーツ
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執筆者プロフィール
星野 智幸 作家。1965年ロサンゼルス生れ。早稲田大学第一文学部を卒業後、新聞記者をへて、メキシコに留学。1997年『最後の吐息』(文藝賞)でデビュー。2000年『目覚めよと人魚は歌う』で三島由紀夫賞、2003年『ファンタジスタ』で野間文芸新人賞、2011年『俺俺』で大江健三郎賞を受賞。著書に『ロンリー・ハーツ・キラー』『アルカロイド・ラヴァーズ』『水族』『無間道』などがある。
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