右サイドからショートパスが折り返されたとき、宮間あや選手はまだペナルティエリアのだいぶ手前にいた。宮間はそのパスをワンタッチで簡単に前方へ蹴った。時間が変化したのはその瞬間だ。ボールはまるで紙飛行機のようになめらかに飛び、格納庫へ戻るかのように、すーっとゴール左上の隅へ収まった。
なでしこリーグ第6節、浦和レッズレディース対岡山湯郷ベルの試合でのゴールである。あまりに美しすぎるその軌道を、私は一生忘れないだろう。
だから、なでしこジャパンはアジアカップで優勝すると、私は確信していた。宮間あやがキャプテンを務めるチームが、負けるはずがない。MVP受賞も当然である。何しろ、今、世界最高の選手なのだから。
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