南米サッカーの「情熱」と「狂気」に関する考察

執筆者:星野 智幸 2014年6月27日
エリア: 中南米

 ワールドカップ・ブラジル大会の8日目。激闘の末、コロンビアがコートジボワールを2-1で下した昼下がり、コロンビア西部のカリ市で、1人の少女が流れ弾に頭を打ち抜かれて死亡した。別の都市では、やはり少女が銃弾で怪我を負った。いずれも、コロンビアの勝利を祝って誰かがぶっ放した銃の弾が当たっての悲劇と見られている。

 コートジボワール戦後だけで、コロンビア全土で2人の死者、87人の怪我人が出たと、コロンビアのテレビでは伝えている。映像では、喜びのあまりバイクを暴走させて人をはねたり、猛り狂って人に殴りかかったり、車を揺さぶってひっくり返そうとしたりと、歓喜を暴力で表現する者たちの様子が次々と映し出される。

カテゴリ: スポーツ
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執筆者プロフィール
星野 智幸(ほしのともゆき) 作家。1965年ロサンゼルス生れ。早稲田大学第一文学部を卒業後、新聞記者をへて、メキシコに留学。1997年『最後の吐息』(文藝賞)でデビュー。2000年『目覚めよと人魚は歌う』で三島由紀夫賞、2003年『ファンタジスタ』で野間文芸新人賞、2011年『俺俺』で大江健三郎賞を受賞。著書に『ロンリー・ハーツ・キラー』『アルカロイド・ラヴァーズ』『水族』『無間道』などがある。
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