インテリジェンス・ナウ

ヒズボラの軍事力に手を焼いたイスラエル アメリカはイラン作戦“予行演習”のあてはずれ

執筆者:春名幹男 2006年10月号
エリア: 中東 北米

 一九八二年、イスラエルは圧倒的な軍事力でレバノンに侵攻、強引にパレスチナ解放機構(PLO)を首都ベイルートから追い出した。 だが、その直後結成されたイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラにとって、イスラエルとの戦いはまさに始まったばかりだった。それ以後、イランのテコ入れを受けて「弾丸と投票箱」の二正面戦略を進め、今度の戦闘で攻守所を変えたのである。 まず「弾丸」だ。二十四年間で、ヒズボラはイスラエルが驚くほどの軍事力を獲得した。 七月十二日、ヒズボラによるイスラエル兵二人の拉致をきっかけに起きた戦闘は、予想以上に強いヒズボラの抵抗で、イスラエル軍の作戦を狂わせた。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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