インテリジェンス・ナウ

新「CIA副長官」は財務省からの抜擢:焦点は「サウジ・IS」の裏の関係

 ロシア、イラン、北朝鮮などの経済制裁違反やテロ組織への金融支援に目を光らせる米財務省の情報機関、テロ金融情報局(TFI)。そのトップで、省庁間の違法金融作業部会(IFTF)議長も務め「制裁のツァーリ」とも呼ばれたデービッド・コーエン財務次官(テロ・金融犯罪担当)がこのほど、中央情報局(CIA)副長官に就任した。財務省からCIAナンバー2への転身は初めてだ。

 他方サウジアラビアでは、アブドラ前国王の死去を受けた人事刷新で、元サウジアラビア総合情報庁長官のバンダル・ビンスルタン王子(66)が国家安全保障会議事務局長の職を解かれていたことが分かった。今後、イスラム教過激派テロ対策は、アルカイダとの戦いで名を知られた新副皇太子のムハンマド・ビン・ナエフ内相(55)が中心になって進めるとみられる。内相は政治安保問題評議会議長も務め、米国との協調体制を強調した陣容になったようだ。だが、米国とサウジアラビア両国のこの人事から何が読みとれるのか。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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