インテリジェンス・ナウ
“核の盗人”カーンを泳がせ続けたCIAの大いなる罪と責任
二〇〇五年、パキスタンでの取材から帰ってきて約一カ月後のことだった。イスラマバードで開拓した取材源から国際電話がかかってきた。「CIA(米中央情報局)はカーン博士を泳がせていたんだが、米安保戦略のコア(核心)にかかわる国に核兵器技術を提供しようとしたから、ブッシュ政権は阻止したんだ」 A. Q. カーン博士、パキスタンの「核兵器の父」である。〇四年二月、国営テレビに登場して、核兵器技術を拡散させたことを懺悔し、自宅軟禁処分を受けた。自ら率いるカーン研究所が構築した「核の闇市場」を通じてリビア、イラン、北朝鮮はもちろん、未確認だがサウジアラビアやシリアにまでも核技術を売り渡し、遂に米政府の逆鱗に触れたというのだ。
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