インテリジェンス・ナウ

文書からも高濃縮ウランを検出 米朝が繰り広げる神経質な情報戦争

執筆者:春名幹男 2008年8月号
エリア: 北米 アジア

 北朝鮮が核計画の申告書を提出。それを受けてブッシュ米政権は北朝鮮の「テロ支援国指定」の解除手続きを開始――という一連の動きに対し、日本の知識人もメディアも厳しく批判している。 だが、その裏で神経質な情報戦争が繰り広げられつつあることを日本の大手メディアはほとんど伝えていない。 まず、北朝鮮が米国に手渡した寧辺の黒鉛減速炉などでのプルトニウム生産に関する一万八千八百二十二ページの稼働記録文書だ。 北朝鮮が五月、米側に引き渡したこの分厚い文書を米情報機関は綿密に調べた。米中央情報局(CIA)やエネルギー省情報・防諜部の専門家が駆り出されたとみられる。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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