「噴水」の音も気に病んだ朱鎔基首相の健康状態

執筆者: 2000年11月号
タグ: 日本 中国
エリア: アジア

 十月十二日から日本を訪れていた中国の朱鎔基首相が、滞在先となった東京・迎賓館の庭園内にある噴水の音がうるさいとして、滞在中、日本政府に夜間は噴水を止めるように要求していた事実が分かった。 在京の中国消息筋によると、朱鎔基氏は以前から疲労すると背中に痛みを感じる持病に苦しんでおり、六日間の日本滞在中もかなり余裕のある日程を組んでいたようで、朝食会などは一切入れていなかった。それでも七十二歳という高齢の朱氏は、疲労から来るとみられる体調不良のために噴水の音にも神経質になっていた模様だ。 朱鎔基首相の来日目的は、日本の“嫌中感情”の緩和といわれ、海外要人としては異例のテレビでの市民対話にも臨んだ。だが、発言にはかなり神経質になっていたのが真相。日本に対して融和的に響く発言は、同行の中国政府当局者によって削除が求められ、放送したTBS側は編集権に関わる重大事にもかかわらず、一部をカットしたことが日本国内の報道でも明らかになっている。米国訪問時に見せたような機知に富んだ朱鎔基節がさほど見られなかった原因として、朱氏の体調不良があったのかも知れない。

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