北朝鮮訪問で続投狙うアナン事務総長

執筆者: 2000年12月号
エリア: アジア

 アナン国連事務総長が二〇〇一年一月の北東アジア歴訪で、日本、韓国、中国に加えて北朝鮮を初めて訪問、金正日総書記との会談実現に向け調整に入った。訪朝が実現すれば、国連事務総長としては一九九三年のガリ前総長以来。金総書記との会談は初めてとなる。今年六月の南北首脳会談で南北の和解が決定的になったのを受け、国連としてもこれを後押しし、和解ムードを一挙に盛り上げるのが目的だ。 一方で、九七年一月に就任したアナン氏の一期目の任期は来年末まで。続投を狙うには、来年夏ごろから本格化する適任者をめぐる議論を前に「成果」を提示する必要がある。アナン氏にとってその最も手っ取り早い方法が訪朝なのである。たとえ大きな成果がなくても、ソウル訪問の前後に平壌を訪れ、金総書記と握手しただけでも「平和の使者」としてのイメージができあがる。アフリカでのPKOなどで失敗続きのアナン氏だが、冷戦構造が残る朝鮮半島で「和平促進」に一役買えば続投はほぼ確実になるとの思惑がある。

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