一度だけアメリカ大統領選挙の投票現場を見たことがある。場所はニューヨーク州北部の大学町で、ケネディvs.ニクソンのときだから古い話である。 小学校(だったと思う)の廊下の隅に、電話交換台を少し小さくしたような投票機があり、半円形に張り出したカーテンが、左右に開いている。投票する人が入ると、その背後でカーテンが自動的に閉じる。すなわち秘密投票である。 投票機には、小さいレバーが横二列に並んでいる。一つ一つのレバーの上に大統領・副大統領、連邦上院議員、下院議員から州上下両院議員、町の郵政長官までの役職名が書いてある。二列のレバーの左端には民主、共和とある。民主党または共和党のどちらかのレバーを右に捻ると、その列のレバーが全部、一斉に右に曲がる。カーテンが開く。一字も書く必要ない。投票結果は投票機内に記録される。
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