ネオコンへの反撃を開始した伝統的保守の復活

執筆者:会田弘継 2003年10月号
エリア: 北米

ワシントンから少し距離を置いてみよう。そうすると、隆盛を極めるネオコンとは根本的に異なる「草の根保守」の胎動が聞こえてくる。ブッシュ批判を避けて沈黙してきた伝統的保守が再び口を開き始めた。 この夏、相異なる保守潮流を代表する二人の大物論客のエッセーが、米保守陣営内の激しい対立を浮き彫りにした。アービング・クリストルとジョージ・ウィル。アービング・クリストルは、ワシントンのネオコン(ネオコンサーバティブ、新保守主義者)の総帥とみなされているウィリアム・クリストル(オピニオン誌『ウィークリー・スタンダード』編集長)の父親である。ネオコン興隆史をたどった者ならだれでも、息子のウィリアムではなく父のアービングの方こそ、「ネオコンのゴッドファーザー」と呼ばれる本物の総帥であることを知っている。

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執筆者プロフィール
会田弘継(あいだひろつぐ) 関西大学客員教授、ジャーナリスト。1951年生まれ。東京外語大英米語科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを務め、現在は共同通信客員論税委員、関西大学客員教授。近著に『世界の知性が語る「特別な日本』』 (新潮新書)『破綻するアメリカ』(岩波現代全書)、『トランプ現象とアメリカ保守思想』(左右社)、『増補改訂版 追跡・アメリカの思想家たち』(中公文庫)など。訳書にフランシス・フクヤマ著『政治の衰退』(講談社)など。
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