[モスクワ発]ロシアのプーチン大統領が内憂外患に頭を痛めている。ロシア南部チェチェン共和国のカディロフ大統領が五月九日、対独戦勝記念式典で起きた爆弾テロで死亡した。この親ロシア指導者暗殺によりチェチェン紛争はいっそう視界不良となった。同じく行き詰まっているのは、意外にも対欧州外交である。欧州連合(EU)二十五カ国体制の発足について、プーチン大統領は「将来の統一大欧州に向けた布石にすべきだ」と容認する姿勢を示した。だが、中・東欧諸国やバルト三国を含む拡大EUの誕生が、ロシアにとって大きなマイナス面を伴うことは事実で、ロシア側で不満がくすぶっている。
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