プーチン政権がチェチェン独立派に手心?

執筆者:Foresight 2004年11月号
エリア: ヨーロッパ

 ロシアのプーチン政権が、チェチェン共和国独立派の最強硬派、バサエフ野戦司令官の居所を知っていながら放置しているとの疑いが出ている。 チェチェンのドゥダエフ初代大統領は一九九六年、携帯電話で会話中に衛星で探知され、ロシア軍のミサイル攻撃により死亡した。バサエフ司令官は北オセチアの学校占拠事件の際、武装勢力に終始携帯で指示を送っており、居場所は探知できたはずなのだ。ロシアは同司令官に十一億円の懸賞金をかけたが、掃討作戦はほとんど行なっていないとの情報もある。 消息筋は「政権側にしてみればチェチェン紛争の継続は、権力の中央集権化の口実になる。二〇〇八年の大統領任期終了前に三選禁止の憲法を改正し、長期政権に道を開くことも可能だ」と述べた。チェチェン紛争が終息すれば、権力独裁化の口実がなくなる。

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