
自民党以上に衝撃が走った公明党の3人落選
東京都議会議員選挙(6月22日投開票)は国政与党である自民党・公明党にとって衝撃の結果となった。13日の告示日直後の情勢調査では、自民党は小池百合子都知事の都民ファーストの会や国政における野党第1党の立憲民主党などをおさえて優勢であった。だが、蓋を明けてみると過去最低の21議席にとどまり、都民ファに都議会第1党の座を明け渡した。また、初めて都議会で議席を獲得した国民民主党が9議席を占め存在感を発揮した。
自民党関係者「結局、都民ファと国民民主に浮動票が流れた結果だ。コアな保守層もいまの自民党には投票しない。参院選も都市部は苦戦するだろう」
自民党以上に衝撃を受けたのは、公明党とその最大の支持母体である創価学会の関係者だろう。公明は、都民ファ、自民に次いで19議席を獲得したが、擁立した22人の候補者全員を当選させられなかった。これまで都議選では8回連続で全公認候補の当選を果たしてきた公明党だが、今回はその神通力を発揮することはできなかった。
投票結果が出る前、筆者は選挙情勢に関して公明党関係者に取材をかけた。都議選を仕切る立場のこの人物は「ウチは期日前からかなり徹底してやっている。いくつか不安な選挙区はあるが、なんとかしのげると信じている」と自信のほどを見せた。にもかかわらず、3人落選という想定外の結果となった。それも、落とした選挙区は公明党と創価学会の本部がある新宿区(1議席)と故・池田大作創価学会名誉会長のふるさとである大田区(2議席)。いずれも、公明党・創価学会にとっては“聖地”とも言うべきエリアでの敗北だ。
政界関係者「今回の結果を見て、公明にとっては厳しい参院選になるだろう。ということは公明の組織票を当てにしている自民党にとっても深刻だ」
真の勝敗ラインは自公で55議席
参院選の前哨戦と目される都議選の結果を受け、与党は戦略の見直しを迫られている。
石破「何議席を目指すということを軽々に申し上げることではないが、非改選と合わせまして過半数を獲得できるよう、全力を尽くして行きたい」(6月23日夜の記者会見)
通常国会が終わり、都議選の投開票が行われた翌日。石破茂総理は総理官邸で記者会見に臨んだ。報道陣からの参院選の勝敗ラインについての質問に石破は「非改選を合わせて与党で過半数」という数字を挙げた。
7月20日に行われる参院選挙は参議院の半数の124議席(非改選の欠員1を合わせて125議席)を争う選挙だ。石破が言及した非改選の勢力分布では124議席中、自民公明で75議席ある。このため、今回の選挙で自公が50議席を獲得できれば参院の総数248の過半数=125議席を確保できる。つまり、石破にとっての勝敗ラインは「自公で50議席」ということなのだ。
しかし、改選124議席中の50議席というのは、割合で言えば4割程度だ。去年の衆院選でも与党過半数割れだった石破政権からすれば、二度の国政選挙でいずれも過半数を取れなかったとなれば、政権のレーゾン・デートルが問われかねない事態となるだろう。「自公で50議席」とは、考えられる中で最も低い勝敗ラインを設定したということだ。

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