
珍しく打つ手が早い
アメリカ大統領ドナルド・トランプの関税政策に世界が翻弄されている。日本時間の4月9日午後1時1分、アメリカは「相互関税」第2弾を発動した。これにより日本には合わせて24%の関税が課されることになった。その後、日本時間10日2時過ぎには90日間の関税停止を発表した。
ニューヨーク、東京、ロンドンと世界のマーケットで株価が乱高下を繰り返す中、各国首脳たちは何を考えているのかわからないアメリカ大統領との対峙に苦慮している。アメリカとの同盟を国是として堅持する日本も事情は他国と同様だ。
7日夜、石破茂総理はトランプ大統領と電話会談に臨んだ。
石破総理「一方的な関税ではなく、投資の拡大を含め、日米双方の利益になる幅広い協力のあり方を追求すべきであるとこのように申し上げた」
会談終了後、石破は、日本がアメリカにとっての最大の投資国であることを訴えたと明らかにした。また、みずからも適切なタイミングでアメリカを訪れ、トランプと直接会談する意向を示した。
今回の日本の対応はタイミングとしては迅速であったと言うことができるだろう。電話会談を受けてのトランプサイドの反応も一定の配慮が窺えるものだ。
具体的には日米間の関税の問題については双方に担当閣僚を置き二国間で協議する姿勢を見せたほか、もう一つの懸案であった日本製鉄によるUSスチールの買収問題についてトランプは政府の担当の委員会に対して再審査するよう命じた。
ある政界の関係者は、一連の関税を巡る“トランプショック”が、弱体化の一途をたどる石破政権にとっては好機になり得るという見方を示す。

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