
小泉進次郎「仮に維新が求めている教育無償化を飲むのなら正式に連立の打診をすべきだと思います」
国会では少数与党である自民党・公明党と日本維新の会との来年度予算案の修正に向けた協議が佳境を迎えていた2月20日。自民党の前の選挙対策委員長の小泉進次郎衆院議員は地元神奈川で、維新が求めている高校の授業料無償化を受け入れるのなら与党は連立を打診するのが前提と主張した。また小泉は「103万円の壁」の見直しを求める国民民主党に対しても同様に連立を打診するべきだと訴えた。
一語一語の歯切れはいいものの、何を訴えたいのか、全体の論旨がわかりづらいと指摘される小泉であるが、この講演で小泉が言いたかったのは、“維新も国民もその先にある現実に対して責任を持て”ということだと筆者は解釈している。現在無役の小泉が敢えてこうした発言をするほど、自民党を取り巻く政治情勢が厳しく、維新や国民民主に頼らざるを得ない現実を物語っている。
「野党の言い分を飲み続けるのは限界」
小泉が講演をした翌21日、自民・公明は維新との高校授業料無償化の政策協議で「私立高校の支援金の上限額を、来年4月から45万7000円に引き上げる」ことで事実上の合意にこぎ着けた。これにより衆議院で38の議席を持つ野党第2党の維新が、授業料無償化を盛り込んだ修正予算案に賛成する見通しがたったことで自民党内からも安堵の声が上がった。
「ようやくメドがついた。これで(来年度)予算はなんとかなる」(自民幹部)
石破茂総理ら与党幹部が恐れていた、予算成立のめどが立たずに政権運営が困難になる最悪のシナリオは回避することになった。
しかし、小泉発言を引用するまでもなく、少数与党である石破政権は維新や国民などキャスティングボートを握る野党の要求を多分に取り入れて政権運営を行わなければ立ち行かなくなるという現実は何も変わらない。

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