テロリストはなぜ「兄弟」ばかりなのか

執筆者:国末憲人 2016年3月30日
エリア: ヨーロッパ 中東
またもや兄弟テロリストたちの犯行だった(C)AFP=時事

 

 欧州連合(EU)の機能が集中するブリュッセルを襲った連続テロは、欧州では昨年11月のパリ同時多発テロに続く大規模テロとなった。犠牲者は30人以上、負傷者は300人以上という惨事である。発生後間もなく、過激派組織「イスラム国」が犯行声明を出した。

 その後時間を経るとともに容疑者像も次第に明らかになってきた。最初にブリュッセル空港で起きた爆発では、自爆した2人がもう1人と並んでカートを押す写真が公開された。その1時間後に地下鉄マルベーク駅で起きた爆発も自爆と見られる。容疑者グループはパリの同時多発テロのグループとつながっており、むしろパリの一団の残党が今回のテロを実行したと見るのが妥当だろう。

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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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