インテリジェンス・ナウ

ワシントンで不審死した「プーチン元側近」:FBIへの寝返り阻止?

執筆者:春名幹男 2016年4月19日
エリア: 北米 ヨーロッパ

 いつものように、今年3月のワシントン取材も、デュポンサークルのクラブに投宿した。そこは便利で動きやすく、雰囲気がいい。
 いつもと違う気分になったのは、近くの別のホテルで昨年11月、ある奇妙な事件が起きていたことを知ったからだった。
「デュポンサークル・ホテル」。決してファンシーではない4つ星のホテル。特派員時代、ここで開かれたシンポジウムを傍聴したことも何回かあった。「日米半導体合意」の密約文書がほしい、と元米政府高官に頼むとこのホテルに来いと指示され、文書を持つ米紙記者を紹介されたこともあった。米政府機関が招待客を泊める宿としてもよく使われる、と聞いた。
 だが、ここでプーチン・ロシア大統領の元側近の男が不審死していたというのだ。なぜ元側近をこんなところで殺(あや)めたのだろうか。
 そして、ロシア情報機関の犯罪、との証拠が確認されれば、「米ロ冷戦」は深刻な段階を迎えるのではないか。

カテゴリ: 政治 社会 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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