【Foresightインタビュー】サントリーホールディングス社長・新浪剛史氏

「グッド・カンパニー」は「自然資本」を次世代に引き継ぐ競争から生まれる

執筆者:新浪剛史
2021年6月16日
エリア: その他
写真=坪田充晃(新潮社写真部)
創業者・鳥井信治郎が掲げた創業精神「利益三分主義」のもと、サントリーは120年以上、社会に必要とされる企業の姿を追求してきた。米中対立というグローバルリスクが顕在化し、資本主義の変容からも目を逸らすことができないポストコロナ時代の企業経営では、「グッド・コンペティション(良い競争)」とは何かを問い直すことが重要だと語る。

――コロナ禍に対する緊急対応の時期を経て、新たな経済成長戦略を描く必要性が高まっています。気候変動問題など資本主義経済が積み残してきた課題への対応も、具体的なタイムスケジュールの中での取り組みが迫られます。これからの国内外の経済状況と企業の役割をどのように捉えますか。

 足元の国内経済は二極化しています。外需がけん引し、重厚長大の企業は好調ですが、非正規雇用の多いサービス業は冷え込んでいます。休業手当を支払う企業を支援する雇用調整助成金で下支えをしていますが、家計の預貯金は先行きの不透明感を背景に増えていて、個人消費も低迷しています。米国と比べ際立つのが消費者のマインドの違いです。米国でも家計の預貯金は増えていますが、日本よりもプレミアムな商品に支出する傾向が強いのが特徴です。国内総生産(GDP)の6割近くを占める個人消費が持ち直さないと、景気の回復は難しいでしょう。

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執筆者プロフィール
新浪剛史(にいなみたけし) 1959年神奈川県生まれ。81年三菱商事入社。91年米ハーバード大学経営大学院修了。2002年ローソン社長。14年からサントリーホールディングス社長。創業一族以外で初のトップ。政府の経済財政諮問会議の議員も務める。
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