7月23日夜、東京・千駄ヶ谷の国立競技場。五輪開会式のスタンドに観客はいない。菅義偉首相は天皇陛下の隣で、華やかなセレモニーやマスク姿の選手たちの入場行進を見守った。新型コロナウイルスの感染拡大という前代未聞の状況で強行開催された五輪。菅氏の表情からは、どうにか開会式までこぎつけたという安堵と先行きに対する不安が見て取れた。
菅氏はせっかちだ。目の前の仕事をしながら先々の日程を気にして、秘書官たちを困らせることが多い。開会式に臨んだ菅氏の頭の中にあったのは、秋までには必ずある衆議院の解散・総選挙と自民党総裁選をどう乗り切るかという難題である。
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