財務省の首脳人事が、官房長就任が有力視されていた小野平八郎大臣官房総括審議官(56歳=事件当時/1989年旧大蔵省入省)の電車内暴行事件でイレギュラー布陣を強いられる中、金融庁人事は無風で決着した。
中島淳一長官(59/1985年旧大蔵省入省)は、2年目の続投が決定。昨年7月の就任早々、新型コロナウイルス対策で酒類の提供停止に応じない飲食店に対し、取引銀行から圧力を掛けさせるという政府方針が降って湧いた。いくらパンデミック対策とは言え、銀行による融資先企業に対する紛うことなき優越的地位の濫用だ。本来ならば、金融庁が体を張って止めるべき「悪手」だが、中島氏は唯々諾々と受け入れた。結果的には、世論の反発を受けた旗振り役の西村康稔経済再生担当相(当時)が自ら方針を撤回したが、中島氏の政治に対する弱腰ぶりを金融界に晒す格好となった。
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