長距離ランナーで生きてくコストはどれくらい?(文字通りの、あるいはメンタル面での)

2024年11月4日
タグ: 健康 マネー
(C)Fortune
2024年はランニングの年だ。ランニングクラブやマラソンが人気を集め、パリ・オリンピックがあり、毎週土曜日の朝に集まって5キロを走る英国発祥の運動イベント「パークラン」は世界に広がり20周年を迎えた。世界中のアスリートたちは今日もトレーニングの計画を練り、ランニングシューズの紐を締め、大切なレースに向けて駆け巡っていることだろう。しかし、長距離ランナーとして生きていくのは意外にお高い。

 レースは、自分自身に(そして世界に)、決断力と粘り強さ、大きな目標を達成できる能力を証明する素晴らしい方法であり、フォーチュン500企業のCEOのような人々がスタートラインに立つのも不思議ではない。

 ランニングシューズブランドを展開する米On(オン)のブリット・オルセンCOOはトレイルランニングへの情熱を語っており、米住宅金融大手ファニーメイのプリシラ・アルモドバーCEOは『Fortune』誌に「マラソンを3回、ハーフを数えきれないほど」走ったと語っている。

 レースは個人にとって有益であるだけでなく、経済的にも重要だ。ランナーたちによって集められる慈善団体への寄付金は数百万ドルに上る。ニューヨーク、ロンドン、ボストン、アムステルダムなどのマラソンをスポンサーするインドのテクノロジー企業タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)は、年間3000万~4000万ドルの契約金を支払っている。地元経済も恩恵を受ける。たとえば、スペインのバレンシアマラソンは2023年に約3130万ユーロ(約3470万ドル)の観光収入を生んだ。

 しかし、個人にとってランニングはどれほどのコストになるのだろうか。「ランニングは無料だ」というのは、バスに乗るために走ったことしかない人の言い分だ。確かに、1回のランには費用がかからないが、ランニングは決して安い趣味でない。ランニングコーチでありメンタルコーチのロニー・ステイトンは、「ランニングは少し金がかかりすぎだ」と語った。

 ステイトンは、ウルトラマラソンランナー(42.195キロを超える距離を走るランナー)をサポートし、自らもイングランドを200マイル(約321キロ)走破した経験を持つ。彼によれば、基本的な装備でも約200ポンド(260ドル)からの費用がかかる。良いランニングシューズと適切なランニングウェアを手に入れるには、最低限それだけかかるのだ。

「しかし、それには時計やランニングベスト、テック系の装備、イヤホン、帽子などは含まれていない」とステイトンは言う。「今すぐ必要なすべての装備を買いに行くとしたら、だいたい1000ポンド(1313ドル)はかかるだろう」。そしてランニングを始めると、「コストはさらに膨れ上がる」。

 実際、長距離ランナー向けにエネルギーを補給するためのランニングジェル(炭水化物の補給食)や、回復を助けるプロテインパウダーの費用もかかる。サプリメント、スポーツドリンク、プロテインパウダーなどの月々のコストは、個人によって異なるが、50〜100ポンド(65〜260ドル)になるという。公園をジョギングするのにジェルは必要ないが(必要なら別だが)、ハーフマラソンの距離を走り始めるなら、パフォーマンスの向上のため、血糖値を上げるジェルが欲しくなるはずだ。

どうしたら安上がりに走れるか

 1500ドルの余裕はない?

カテゴリ: スポーツ
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