「慢性疲労症候群」に関連する遺伝子を英研究チームが発見

2025年9月7日
タグ: 健康
世界でおよそ6700万人が症状を持つと推定される (C)REUTERS/Maja Smiejkowska
慢性疲労症候群では、軽い運動や考え事をしただけも疲労感や痛み、頭がぼんやりする「ブレインフォグ」が回復せず悪化することが特徴だ。英エディンバラ大学の研究チームは8月6日、慢性疲労症候群の患者に特徴的な遺伝子の配列を発見したと発表した。この成果は、慢性疲労症候群が怠慢さと勘違いされることや、心理的要因によるものだとする誤解を払拭することにつながると期待されている。

[ロイター]研究では、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の患者と健常者の遺伝子を比較し、ME/CFS患者では8カ所の領域に特徴があることを発見した。研究チームは声明で「遺伝子がME/CFS発症リスクに関与することを示す初めての確固たる証拠である」と述べた。

 ME/CFSの発症原因は謎に包まれており、診断のための検査方法や治療方法は確立されていない。研究チームによれば、世界でおよそ6700万人がME/CFSの症状を持つと推定される。

 研究プロジェクトは「DecodeME」と呼ばれ、慢性疲労を自己申告した1万5579人と、症状のない25万9909人(いずれも欧州系)のDNAを解析した。その結果、ME/CFSの患者で多く見られた遺伝子の配列は、免疫系や神経系と関連していた。この報告は、まだ査読を受けていない。

 少なくとも2つの遺伝子領域は感染症への反応に関わっており、ME/CFSの症状が感染症にかかった後に始まることが多いとの報告と一致する。また別の遺伝子領域は慢性疼痛と関連していた。痛みが慢性的に続くこともME/CFSでよく見られる症状である。

カテゴリ: 医療・サイエンス
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