Weekly北朝鮮『労働新聞』
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毛沢東の長男の墓に金正恩が献花(2025年10月19日~10月25日)

執筆者:礒﨑敦仁 2025年10月27日
エリア: アジア
10月24日は朝鮮戦争で戦死した毛沢東の長男、毛岸英の誕生日でもあった[中国人民志願軍烈士陵園を訪れた金正恩国務委員長=2025年10月24日、北朝鮮・檜倉郡](C)AFP=時事
金正恩国務委員長は、ロシアに派兵された北朝鮮兵のための記念館着工式に出席した翌日、朝鮮戦争で戦死した毛沢東の長男、毛岸英の墓を訪問。ロシアと中国いずれとも「血盟関係」にあることを再確認した。22日の極超音速ミサイル2発の発射実験に金正恩は立ち会わなかった。この実験についてAPECを視野に入れた「牽制」と位置付けるのは妥当ではない。【『労働新聞』注目記事を毎週解読】

 10月24日付では、第1面から第3面にかけて、朝露両国の国旗をモチーフにした挿入画が非常に目立った。ロシアに派兵された戦闘員の「永生」を祈願する「戦闘偉勲記念館」の着工式が挙行されたことを報じたものである。着工式には、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長のほか、朴正天(パク・ジョンチョン)朝鮮労働党中央委員会副委員長、努光鉄(ノ・グヮンチョル)国防相、崔善姫(チェ・ソニ)外相をはじめとする幹部や、海外軍事作戦参戦者と烈士の遺族ら、ロシア側からはアレクサンドル・マツェゴラ駐朝大使が出席した。

 金正恩は演説を行い、「今日(注:10月23日)からちょうど1年前、われわれの遠征部隊の戦闘員たちの最後の隊伍がロシアに向かって出発しました」「極悪非道なネオナチ侵犯者を撃滅し、国際反動陣営に大きな不安と恐怖を抱かせ、兄弟的人民の尊厳と安寧を守り、正義と平和のための人類共同偉業に大きな貢献をしました」と述べて彼らの「英雄的犠牲精神」を称えた。それとともに、「平壌(ピョンヤン)はいつもモスクワとともにある」としてその「親善団結は永遠」であると訴えた。演説は、「不敗の朝露親善万歳!」で締め括られている。

 25日付は、中国人民志願軍の朝鮮戦争参戦75周年に際して、金正恩が平安(ピョンアン)南道の檜倉(フェチャン)郡の中国人民志願軍烈士陵園を訪れたことについて報じた。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治外交。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、『北朝鮮を読み解く』(時事通信社)、共著・編著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)、『北朝鮮を解剖する』(慶應義塾大学出版会)など。
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