経済の構造改革に失敗した政府は、日銀にすべての矛盾の後始末をさせようというのか。秀才たちは笛吹き男よろしくウブな空論を唱え、思惑渦巻く現実政治を破滅へと導いてゆく。 それは奇妙な光景であった。イラクや北朝鮮をめぐる危機をそっちのけで、福井俊彦新日銀総裁の誕生に思い入れを込めた報道の嵐が続いたからだ。日銀プリンスの登板、“大物”財務次官の副総裁就任による大蔵支配の復活、政府と日銀のアコード(政策協定)……。いずれの指摘もどこかそらぞらしい。日本経済がバラバラに解体するのを、政策的に止められるかのように論じているからだ。

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