ラムズフェルド米国防長官の「古くさい欧州」発言は、仏独に共通の“敵”を認識させた。市民レベルにまで広がる仏独の接近の行方は――[パリ発]この一日は将来、欧州現代史の分岐点として位置づけられるかも知れない。 十月十七日、ブリュッセルで開かれたEU(欧州連合)首脳会議の二日目だった。シュレーダー独首相はこの日、独連邦議会への出席のため退席。彼が自分に代わって独代表の座を依頼したのは、フィッシャー外相でも担当の独大使でもなく、シラク仏大統領だった。大統領は独首相顧問を脇に座らせ、時に「仏独共通の立場として」と前置きし、時に「仏が支持する独の立場として」と前置きし、欧州憲法や移民問題について何度かドイツの立場を代弁する発言をしたという。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン