台湾の自動車大手、中華汽車工業がリコール問題でどん底にある三菱自動車の事業再生計画の一環として、優先株を百億円引き受けた。三菱グループ各社や企業再生ファンドが並ぶ引受先の中では異色の存在だが、技術支援を三十年以上仰ぎ続けた三菱自の窮地を救おうという単純な美談ではない。中華汽車の視線の先には成長する中国の自動車市場がある。 中華汽車は「台湾自動車産業の母」と呼ばれる呉舜文女史がオーナーの裕隆集団の中核企業。紡績、半導体、自動車を幅広く手掛ける企業グループで、傘下には日産自動車と提携する裕隆汽車製造も抱える。業績がV字回復した日産と三菱自では提携相手として雲泥の差だが、中華汽車が三菱自と組むメリットも小さくない。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン