「開校前は五割の合格率なんて浮かれていたが、ウチなんて一割でも御の字ですよ」 関東の法科大学院で教鞭をとる教員の声は湿りがちだ。 今年四月に開校した法科大学院は、裁判員制度などと並ぶ司法制度改革の大きな柱の一つ。十一月に合格者が発表される現行の司法試験には、この日本版ロースクールに在学したまま受験に臨んだ学生も少なくなかったとされる。 ただ、「法曹への近道」として鳴物入りで開設された経緯とは裏腹に、現実はそう甘くないようだ。 まず、司法試験不合格者が大量に発生する問題がある。開校したのは六十八校。二年コース(法学既習者)に約二千三百人、三年コース(未習者)に約三千四百人の計約五千七百人が入学したが、この学校数と人数が最大の誤算だった。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン