北尾吉孝は「北裏イズムの子」か

執筆者:喜文康隆 2005年5月号
タグ: 日本

「思想の生存条件の一つは寄生である。思想の自立を信ずる思想家の思想もこの制約を免れているわけではないのである」(林達夫『思想の運命』)     * 四月一日、お台場の東京ビッグサイトでソフトバンクグループ中核六社の入社式が開かれた。新卒新入社員は計二千百八十七人、昨年の十三倍が広大なホールに並ぶ。今年からグループの一員となったプロ野球「福岡ソフトバンクホークス」の副社長兼監督、王貞治氏も来場して花を添えている。 グループ総帥・孫正義は、「ホリエモンさんのおかげで『大人のソフトバンク』と言われる」と余裕を見せ、そして「大事なのは持ち株比率ではなく同じ志を共有している仲間だ」と続けた。「本当に二千人もの人を『仲間』にできるのだろうか」。そんな思いを呑み込んで、デジタル情報革命の旗手になると強調する孫とソフトバンクを、三十年前の野村証券の姿に重ねて見てみようと思った。

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