インテリジェンス・ナウ

米国で高まる北朝鮮攻撃論「核」も含む作戦計画の全貌

執筆者:春名幹男 2005年7月号
エリア: 北米 アジア

 ブッシュ米大統領は五月三十一日の記者会見で、北朝鮮の核問題に対応する方法について「外交か軍事かだが、私は外交的アプローチに賛成だ」と言った。大統領は過去にも「あらゆる選択肢」があると述べているから、新味はない、と日本のメディアは考えたのだろう。日本ではまったく報道されなかった。 実は、大統領はこのあと米政府内に「軍事的」オプションが提出されたことを認めた。「軍事力行使を主張する人たちに対しては、あらゆる選択肢がある間は外交的解決の方法があると言いたい」と明言したのである。 大統領会見の前から軍事的圧力は強まっていた。ローレス国防副次官が議会証言で「北朝鮮が六カ国協議放棄の戦略的決定をする可能性に備えている」と明言した五月二十六日、米軍がF117ステルス戦闘機十五機を韓国に配備し、空母ニミッツが太平洋を移動中であることが明らかにされた。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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