ノルウェーに学ぶ「水産業再生」へのヒント

執筆者:国末憲人 2013年8月28日
タグ: ロシア 日本
エリア: ヨーロッパ
 港町オーレスンの全景(筆者撮影、以下同)
港町オーレスンの全景(筆者撮影、以下同)

 漁業というと、日本では「低収入の零細事業」「高齢化による後継者不足」といったイメージがつきまとう。実際、日本の漁業・養殖業の生産量は減り続けている。沿岸漁業で生計を立てる家庭で、漁による年収は平均200万円あまり。漁業就業者の約半数は60歳以上だ。

 しかし、世界的に見ると魚食は拡大傾向にあり、漁業も成長産業と見なされている。ニュージーランドや欧州各国では、多くの若手従事者を吸収し、設備の近代化や販路拡大に忙しい。

 なかでも典型的な例が、欧州随一の水産国ノルウェーだ。徹底的な資源管理と合理化を推し進め、数千万円の年収を得る漁業者が少なくないという。輸出する魚は国際競争力を持つ商品として広く流通しており、サバ、サーモンなどは日本の食卓を席巻している。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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