シンガポール取引所(SGX)の“歴史的スキャンダル”に、奇妙な幕引きが近づいている。 二〇〇四年十一月、SGX上場のジェット燃料商社、中国航空油料(CAO)のデリバティブ(金融派生商品)取引に五億五千万ドルに上る損失が発覚。同じSGXを舞台にしたデリバティブ取引の巨額損失で、英ベアリングズ銀行のトレーダー、ニック・リーソンが同行を破綻に追い込んだ一九九五年の事件を忘れる金融関係者はいない。「大スキャンダルの再現か」と、市場は騒然となった。 CAOは自主再建を断念。現地の裁判所に資産保護を申し入れるとともに、債権者たちに計五億ドル以上の債務カットを求めた。日本の三井住友銀行や韓国SKエナジーが債務返還要求に乗り出したことは、本誌〇五年四月号でもお伝えした。
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