先日、フィレンツェに行く機会があった。ルネサンス文化の粋が凝縮するこの街のシンボルは、何と言ってもサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂である。白を基調に緑やピンクの大理石の装飾が施された外壁、ブルネレスキ設計の巨大なドームがあるこの聖堂は、「花の聖母」という名前通りに美しい。
ところが5年前までは聖堂前の狭い通りにバスが通り、美しい壁も排気ガスで薄汚れていた。聖堂の壁に限らず、街のあちこちに落書きが目立ち、この街に憧れてやってきた観光客は、かなりがっかりしたと思う。
「壊し屋」への賛否両論
この状況を一変させたのが、今、注目を集めるイタリア政治史上最年少の首相、マッテオ・レンツィ氏である。5年前、34歳でフィレンツェ市長に就任するや否や、古都フィレンツェの改革に着手。世界遺産である歴史地区を歩行者天国にし、ゴミを削減し、石畳を新しくし、落書き自警団を組織。Yシャツにジーンズで自転車に乗り、「マッテオ」とファーストネームで市民から呼ばれるレンツィ氏は、観光地フィレンツェのPRとして、地元紙で外国人からのメールに答えるコラムまで設けた【リンク】。
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