米欧が腐心する対イラン「アメとムチ」の効能

執筆者:北村隼郎 2006年7月号
エリア: 中東

再三にわたる各国の働きかけにも応じず、ウラン濃縮を続けるイラン。核保有をみすみす許さないための有効な策は残されているのか。 難航するイラン核問題を打開するため、米仏英独中露の六カ国は六月六日、核兵器製造にもつながるウラン濃縮活動を停止するよう促す「包括見返り案」を示した。しかし、イランが大幅に歩み寄る公算は当面は小さいだろう。今後も延々と続きそうな同国への「対話と圧力」路線は、決して楽観視できない道のりとなりそうだ。「あれからもう四年もたったのか」と改めて感じる。二〇〇二年夏のサッカー・ワールドカップ前回大会のことではない。欧州に拠点を置くイランの反体制派組織が、イラン政府が国際原子力機関(IAEA)に申告しないまま大規模な核施設の建設を進めている、と暴露して核問題の発端となったのが、同じ年の八月だったのだ。

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