名前を口にした途端に、歴史上のある記憶を呼び起こす街があるとしたら、ニュルンベルクも間違いなく、その一つだ。ドイツルネッサンスの巨匠、デューラーが暮らし、ワーグナーが素朴な民衆の芸術の高さを讃えた「ニュルンベルクのマイスタージンガー」に登場する美しい街は、恐らくドイツらしい美を内包したがゆえに、ナチス党大会の開催地になった。ユダヤ人差別を規定した法律が「ニュルンベルク法」と名づけられてからは、この街はヒトラーの記憶と無縁ではいられない運命を背負う。ニュルンベルクと言えば、ナチス関係者を裁いた「ニュルンベルク裁判」を連想する人も多いのではないだろうか。
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