「核保有した北朝鮮」への現実的対応

執筆者:田中明彦 2006年11月号
エリア: アジア

 北朝鮮の核実験に対して何をすべきか。北朝鮮の核実験が成功したのかどうか本稿執筆時にははっきりしておらず、北朝鮮の保持する核兵器の能力は、いまだに定かではない。しかし、はっきりしていることは、現在の能力が不十分だとすれば、北朝鮮は能力向上を目指すさらなる核実験をためらわないだろうということである。核兵器を搭載した弾道ミサイルを北朝鮮が配備するという状況になるには、まだ時間があるのかもしれないが、交渉による北朝鮮の核廃絶が実現しないとすれば、早晩、その状況が来るとみなければならない。そうだとすると、これに対する安全保障面での日本の対応は、当面、二つということになろう。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
田中明彦(たなかあきひこ) 1954年、埼玉県生まれ。東京大学教養学部卒業。マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了(Ph.D. 政治学)。東京大学東洋文化研究所教授、東京大学副学長、国際協力機構(JICA)理事長、政策研究大学院大学学長、三極委員会アジア太平洋地域議長などを経て、2022年4月より再び国際協力機構(JICA)理事長に就任。著書に『新しい「中世」―21世紀の世界システム』(サントリー学芸賞受賞)、『ワード・ポリティクス―グローバリゼーションの中の日本外交』(読売・吉野作造賞)、『アジアのなかの日本』、『ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理』など。
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