早くも始まるヒラリー疑惑の「再発掘」

執筆者:名越健郎 2007年4月号
エリア: 北米

民主党の最有力候補であるがゆえに、疑惑の再追及は長く厳しいものになるだろう。果たして乗り切っていけるのか――。 米史上初の女性大統領を目指す民主党の本命、ヒラリー・クリントン上院議員(五九)にとって、今後最大の障害は共和党右派やメディアの疑惑追及だろう。米タイム誌はヒラリーを「米史上最も洗いざらい調査される人物になるかもしれない」と書いた。長丁場の大統領選で、ネガティブキャンペーンは大きなハンディになりそうだ。 好景気で問題が比較的少なかったクリントン時代の八年間、メディアはもっぱらクリントン夫妻のスキャンダル報道に奔走したが、夫妻が二〇〇一年初めにホワイトハウスを去った後、疑惑追及の動きは収まった。だが、今年一月の大統領選出馬表明後、共和党右派勢力の追及が始まりつつある。かつてヒラリーを「社会主義者」呼ばわりした政敵のギングリッチ元下院議長は「冷酷な選挙戦を進める意地の悪い女」と攻撃を再開。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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