前回、わが国が直面している諸問題に対する唯一の解は、「出生数の大幅な回復」だと述べた。この点で政府では最近、数年来のベビーブームに沸いているフランスの少子化対策への関心が高まっている。 筆者も委員として参加している内閣府の「『子どもと家族を応援する日本』重点戦略検討会議」でも、今年四月、尾身幸次財務大臣の要請に応じて、厚生労働省が、「フランス並みの施策を講じた場合の必要金額は十兆六千億円」という推計値を出した。 尾身財務大臣の要請はおそらく、秋以降、消費税率の引き上げをめぐる論議が本格化する前の布石であろう。すなわち、「これだけ巨額の費用がかかるのだから、消費税引き上げは不可欠」という展開が予想される。
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