フラット化した世界を襲うかつてなき金融動乱の波

執筆者:小田博利 2007年10月号

サブプライム危機はたんなるバブルや金融技術の問題として片付けられるものではない。その先に見えるのは新興国との逆転現象、日米欧が世界経済を取り仕切れた時代の終焉だ。 グローバル化し、平板(フラット)になったはずの世界が、二つのMに揺れている。米国の住宅ローン(モーゲージ・ローン)と中国製品(メイド・イン・チャイナ)だ。モノとサービス、カネが国境と市場を跨いで行き来する。そんなグローバル化した世界は、いま大きな試練を迎えつつある。 信用度の低い個人向け住宅融資であるサブプライムローン問題が、連日メディアを賑わせている。ローンが住宅抵当証券(RMBS)などの形で証券化され、その証券を束ねて債務担保証券(CDO)などの複雑な金融商品が作られる。それらの金融商品を運用するために、特別投資会社(SIV)が組成され、そのSIVが短期の資金を集めるために資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)を発行している。

カテゴリ: 経済・ビジネス
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top