麻生太郎首相は今の経済危機を評して「百年に一度の不況」と連発している。ところが、その対策はどうかというと、とても百年に一度のものになっていない。昨年八月以来十二月までの対策を合計して、いわゆる「真水」は十二兆円。これは、一九九〇年代に行なわれた総合経済対策と比較して、質・量ともに同レベルの「並」の経済対策である。 百年に一度の経済危機といえば、ほとんどの人は実体験として知らないから、頼りになるのは歴史だ。一九三〇年代の大恐慌が大いに参考になる。もちろん、大恐慌の時代と現在では状況は異なり、歴史は同じように繰り返すわけではない。しかし、大恐慌以外に参考にするものがわからないのが実情なのだから、歴史に学ぼうとするのは当然のことだ。
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