麻生政権は「百年に一度」にふさわしい政策を行なっているか

執筆者:高橋洋一 2009年2月号
エリア: アジア

 麻生太郎首相は今の経済危機を評して「百年に一度の不況」と連発している。ところが、その対策はどうかというと、とても百年に一度のものになっていない。昨年八月以来十二月までの対策を合計して、いわゆる「真水」は十二兆円。これは、一九九〇年代に行なわれた総合経済対策と比較して、質・量ともに同レベルの「並」の経済対策である。  百年に一度の経済危機といえば、ほとんどの人は実体験として知らないから、頼りになるのは歴史だ。一九三〇年代の大恐慌が大いに参考になる。もちろん、大恐慌の時代と現在では状況は異なり、歴史は同じように繰り返すわけではない。しかし、大恐慌以外に参考にするものがわからないのが実情なのだから、歴史に学ぼうとするのは当然のことだ。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
高橋洋一(たかはしよういち) 1955年東京都生れ。東京大学理学部数学科、経済学部卒。80年大蔵省(現財務省)入省。小泉・安倍内閣で竹中平蔵大臣補佐官、内閣参事官として郵政民営化、特別会計改革、公務員制度改革などに関わる。2008年に退官。09年政策コンサルティング会社「政策工房」設立。『恐慌は日本の大チャンス』(講談社)、『さらば財務省!』(同、山本七平賞)など著書多数。著書に『官僚のレトリック』(新潮社)がある。
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