「滑落した覇者」トヨタの“側近人事”の読み方

執筆者:山内桂也 2009年4月号
タグ: 日本

 トヨタ自動車は日本経済の姿見である。二〇〇二年二月に始まった戦後最長景気で主役を演じ、一転、創業以来最悪の赤字決算という「トヨタショック」は、経済危機の象徴として大々的に報じられた。 そのトヨタが二月下旬、豊田章男新社長(五二)=六月に就任予定=を支える副社長陣を発表した。創業家出身の社長が生まれるのは十四年ぶりだけに、章男氏を誰が支えるのかに注目が集まっていた。 焦点は渡辺捷昭社長(六七)=副会長=を支えてきた木下光男副社長(六三)の処遇だった。木下氏は経営企画、人事、財務など管理部門を束ね、経営を切り盛りしてきた筆頭副社長。章男氏と並んで社長候補に名前が挙がった実力者だが、渡辺・木下ラインと章男氏を支持するグループとの間にはわだかまりがあり、業績悪化では豊田章一郎名誉会長(八四)の不興を買ったとされる。それでも火急の事態に「番頭」を残すのか。それとも慣例通りトヨタを去り、グループ企業に転じるのか。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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