いかに豊かになろうと、大国の装いを身にまとおうと、どうしようもないものがある。これが中国の“断面図”だ。 南シナ海に浮かぶ海南島は、中国最南の省、海南省を成す。日本の九州よりやや小さい。三月、この島の東方市感城鎮に属する感城、宝上の二つの村を舞台に数千人規模の暴動が発生。一人が死亡、少なくとも九人が重軽傷を負うという「惨劇」が起きた。 三月二十三日、感城村と宝上村の中学生各一人が東方市の中心部に出かけ市の民族中学校の生徒と口論し殴られたのが発端。その夕方、「宝上村の生徒に殴られた」とする感城村の生徒の親ら二十人余りが鎮政府に抗議に押しかけ、やがて数百人に膨れ上がった群集は鎮政府事務棟に放火、さらに向かいの感城辺防派出所の宿舎やパトカーなどを燃やした上、村境近くの宝上村の旅館にまでなだれ込み設備を打ち壊した。

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