十月、二つのサッカーの国際試合が注目を浴びた。一つは国と民族の誇りを確認する場となり、もう一つは長年反目してきた国同士の和解を演出した。 パレスチナ自治区のヨルダン川西岸の都市アラム。二十六日、パレスチナとヨルダンの女子チームによる親善試合がもたれた。自治区でサッカーの国際試合が行なわれたのは初めてだった。スタジアムはパレスチナ人観客一万人で埋まり、三分の二が女性。自治政府のサラム・ファイヤド首相や、国際サッカー連盟(FIFA)が派遣した幹部も観戦した。 パレスチナのチームは赤いユニフォーム、ヨルダンチームは白。大部分が半袖シャツに膝上パンツ。イスラム教の戒律を守り、スカーフを被り、パンツの下にタイツをはいた女性は数人だけ。紅白の選手がボールを追ってピッチを駆け回ると、パレスチナの国旗が打ち振られ、自治政府の故アラファト元議長の肖像が大きく揺れた。

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