次の20年の20人 ウラジーミル・プーチン

執筆者:酒戸充 2010年4月号
エリア: ヨーロッパ

「ロシアが近代国家になるためには権力の団結が必要だ」。二月中旬、ロシア大統領府のスルコフ副長官が現政権の国家管理強化を正当化し、自由な野党活動を認めるのを急ぐべきではないとの主張を展開した。その権力の中心にいるのがウラジーミル・プーチン首相(五七)だ。二〇〇八年に大統領を退任したものの、憲法上ナンバー2の首相にとどまり、大統領の担当である外交、国防、治安などでも積極的に発言する。国民の大半はプーチン氏こそが最高の実力者とみている。 焦点となるのは二〇一二年の大統領選。プーチン氏が出馬すれば当選は確実。任期が六年に延長されるため二期十二年、つまり二〇二四年まで大統領職にとどまることができ、名実ともにプーチン時代が続く。ただ、メドベージェフ大統領との関係は良好だ。仮にメドベージェフ氏に出馬を譲っても、プーチン人脈が政権を支配する。何らかの公的な地位を確保し、双頭体制が維持される可能性が高い。かつてプーチン氏はロシアを飛行機にたとえて「自動操縦に移るのにはまだ十五年から二十年はかかる」と発言し、強い権力基盤をもった人物が操縦桿を握るべきとの考えを示した。同氏がコックピットから離れるのは当分先になりそうだ。

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