カンボジア訪問で過去に「知らんぷり」した江沢民

執筆者:Foresight 2000年12月号
タグ: 中国 日本 インド
エリア: アジア

 中国の江沢民国家主席が、十一月に国家主席として三十七年ぶりにカンボジアを訪問した。これまで日本に過去の歴史認識を執拗に求めてきた中国だが、カンボジアでは九〇年代初めまで十五年余りにわたりポル・ポト派を軍事支援した過去について“知らぬ存ぜぬ”を貫き通した。 先の朱鎔基首相の来日で耳にタコができるほど聞かされた「歴史を鑑に未来に向かう(以史為鑑面向未来)」の成語を忘れたわけではあるまいが、プノンペンの一部学生たちからは、中国に過去の「謝罪」を求める声もあった。 カンボジアと中国の友好関係の陰で、北京が過去にポル・ポト派へ大量の武器供給など様々な支援をしたからこそ、数百万人に及ぶ大虐殺が可能になった事実は誰もが知る話。カンボジア国民もそれを熟知しているため、大いに割りきれない感情が残ったと言われる。

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