日本は、IT戦略での過ちをナノテクノロジーで再び犯そうとしているのだろうか。「ナノテクで日本はアメリカ(別にEUでもいいのだが)に勝てるか」式の、いたずらに扇情的な惹句を目にするにつけて、そう思う。 ナノテクはナノメートル(十億分の一メートル)のスケールで原子・分子を操作する技術である。これによって「鉄の十倍の強度を持ち、ずっと軽い物質」、「米国会図書館が持つ全情報を角砂糖ほどの大きさに詰め込める記憶装置」、「特定ガン細胞やウイルスを個別に撃破できる細胞サイズのロボット」などを作り出すことが可能になると期待されている。

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