この十年は失われた十年と言われるが、どっこい、新しく生まれ育ったものもある。地域社会に根を下し、住民たちのエネルギーを吸い上げることに成功しつつある、いくつかのサッカークラブがそれだ。日本のプロスポーツは企業と直接結びついて発展し、プロの卵は文部省や教育委員会が目を光らせる高校の選手から生まれてきた。しかし、サッカークラブは十五歳以下から成人にいたるまでの少年たちをトップアスリートにすべく一貫した目で育成し、頂点に立つプロチームは企業名ではなく地域名をいただいて、地域住民の心をひとつにする求心力になっている。

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