丸の内、汐留、品川、六本木――。新たな摩天楼が次々誕生し、予想以上に厳しい「二〇〇三年問題」の現実が明らかになりつつある。不動産大手によるテナント争奪戦は激しさを増し、大会社の本社を引き抜き合う“恐怖の玉突き”も始まっている。「十六年かかったこの『六本木ヒルズ』が二〇〇三年四月二十五日にオープンすることを謹んで予告します」 十二月五日に開かれた記者発表会。作業の足場が組まれ、一部の天井は空調ダクトが剥き出し、外周全面ガラス張りのフロアで、挨拶した森ビル社長の森稔はやや上気した表情でこう宣言した。

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